日時2020年 2月 8日(土)14:00〜16:30
会場 :和光学園(技術室)


内容 三色LEDの点灯をArduinoで制御する作品製作に挑戦


 立春が過ぎたというのに厳しい寒さが続いている。そうしたなかでの研究会開催となった。この日は、完成品をハーバリウムの電飾に活用することを目的に、三色LEDの光り方をArduinoを使って制御する作品を製作してみることにした。水を入れたペットボトルを完成品に乗せて作動させてみると、何とも幻想的な光景となる(写真1)。
 材料の準備と製作指導は後藤直氏(新潟県三条市立大崎学園)が、機械や工具類の準備は会場校の亀山俊平氏がそれぞれ行った。なお、当日は、時間の関係で、はんだづけを中心としたアクチュエータ部分の製作のみを行い、あらかじめ用意してあったプログラムを完成後に転送するだけにとどめた。

@電飾活用を目的とした三色LEDの点灯制御をArduinoで   後藤直
 現行の学習指導要領では、プログラムによる計測・制御の学習内容が設定されている。この部分の学習に関しては、複数の教材会社からさまざまな教材が開発・販売されているが、高々10時間程度の授業時数に見合わないほど高額なのが難点である。そして、教材が高額にもかかわらず、何を学んだのかが生徒たちの記憶に残っていない点が、指導する教師にとって何より辛い。そこで、計測・制御の学習の必要事項がすべて学べ、あわせて学ぶ楽しさも味わえ、価格面の問題もクリアできる製作教材を考案し、実践してきている。現在は、三色LEDの点灯のしかたをArduinoを使って制御し、ハーバリウムの電飾に活用することを目的とした教材で実践している。
 実際に製作してみたうえで問題点等を検討することになった。そこで、製作に必要な材料が参加者に配付されると、後藤氏の説明を聞きながら作業に取りかかった。配られた部品は、自作の基板とそこにはんだづけする電子部品類、Arduinoボード、電池ホルダつきの電池、基板・ボード類の固定兼用の電飾用台である。参加者は、基板に指示どおり部品をはんだづけした後、電池をつないで動作確認する。(写真2)LEDが無事点灯すれば、それまでの作業にミスがないことが確認できる(写真3)。このときの反応は子どもも大人も同じだということがよくわかる一瞬である。作業が終わった参加者から順次プログラムを転送し、LEDの色の変化を確認する。

 参加者の作業がひととおり終了したところでまとめの討議に移った。後藤氏は「材料費は全部で 900円程度で、電子部品以外は身近に手に入る材料なので、キット教材を使うより割安の費用でできるのが何よりよい。細かい作業が多く、少し手間がかかるが、完成するのを楽しみに頑張る生徒が 多い。プログラムを転送してみて、自分の思いどおりになったならないで一喜一憂する生徒たちの姿が何ともほほえましかった。基板に部品をはんだづけしたものの、そのほとんどはブラックボックスになっている。それにもかかわらず満足感が得られているのは、自分で操作したとおりの結果になったからだと見ている」と話していた。また、後藤氏は「プログラミングあるいは計測・制御にかかわる学習はある特定の学年でまとめて学習するより、少しずつ時間を割き、段階を踏みつつ、すべての学年で学習するようにしたほうが効果があがるのではないかと思っている」とも述べていた。
 他に出された意見のおもだったものをあげておく。「確かに細かい作業が多く、はんだづけのミスが多くなりそうだ。それを防ぐには基板を一回りも二回りも大きくすればよいのではないか。また、ディップスイッチは使わなくてもよいと思うが。CdSを組み込んでみてもおもしろいかもしれない」、「製作に5〜6時間はかかるから、その後のプログラム作りにそれほど時間がかけられない可能性がある。時間の確保に一工夫が必要だろう」、「小学校でプログラミング学習が新たに始まる。高校でも情報科の学習内容が変わる。そうしたとき、小学校から高校までの学習の流れを考えた情報教育のあるべき姿を見通し、そのなかでの技術・家庭科としての情報の単元の学習を考える必要があるのではないか」。  





   


研究会に対する問い合わせ先

野本 勇