日時2019年 3月 16日(土)14:00〜16:30
会場 :学芸大学附属世田谷中(技術室)
内容 生物育成で栽培作物をもとに授業計画を再検討する
年度末の3月は教員にとって忙しい時期である。そのようなためか、研究会開始後かなり時間が経ってから駆けつけた参加者も複数いた。また、今回の会場使用は昨年(2018年)9月以来である。
さて、秋から冬にかけての作物栽培では、害虫の少なくなる時期でもあるので、温度管理に気を配っていさえすれば、栽培上の失敗は少なくなる。また、冬野菜は種類も多く、プランター栽培でも十分いける。この日は、会場校の諏佐誠氏に実践報告と問題提起をお願いし、それをもとに討議を進めた。取り上げた作物は、あまり実践例がないと思われるブロッコリーである。
@ ブロッコリーの栽培実践をもとに栽培作物について考える 諏佐誠
3年の9月からダイコンの栽培を取り上げた生物育成の学習を進めているが、本格的な学習の前段階として、1年次あるいは2年次にも簡単な栽培学習を行っている。作物の育成管理の基礎・基本の習得をめざして実施してはいるものの、栽培作物の選定が毎年の悩みである。今年度(平成30年度)はたまたま入手できたブロッコリーを取り上げてみることにした。授業進度の関係から晩生品種のものを用意し、9月に苗の定植、2月〜3月に収穫というような計画を立てさせ、日常の育成管理を行わせるよう考えたが、予定より早く花が咲いてしまったり、定植後の苗の置き場所の違いから育ち方が大きく異なったりと、対応がむずかしかった。生徒の日頃の管理状況や気象・環境の要因などを踏まえながら、収穫時期に合わせた計画を立てさせるという意味では、適切な課題となったと言える。
その後の討議では、栽培学習について、さまざまな角度から意見が出された。その中からおもだったものをあげておく。「各学年で栽培学習を実施し、3年での学習がその仕上げになるとのことだが、それならば、3年での学習とそれ以外の学年での学習の主たるねらいを明確に分けたほうがよいのではないか。 1,2年での学習は栽培の楽しみを育むことを主眼とし、栽培管理が簡単な作物を選定する。3年の学習は収穫増をめざした本来の栽培を学ばせ、農業と結びつくような学習内容にする」、「収穫したものを家庭へ持ち帰りたがらない生徒がけっこういるとのことだが、家庭科の食物学習と関連づけ、調理実習で収穫物を使うよう考えたりと、工夫してみることも必要」、
「学校教育の中では、中学校の技術・家庭科ではじめて栽培の学習に取り組むわけではない。多くの小学校の生活科や理科などで、朝顔を育てたり稲の栽培をやったりしているはず。ただ、小学校
教員の全員が栽培作物の特徴や管理のしかたをよく知っているわけではない。それならば、知っている教員に聞けば済むのに、それすらやらない学校の雰囲気があるようだ。教員の栽培に対する不熱心さが児童の栽培学習に取り組む姿勢に大きな影響を与えているのではないか」、「水耕栽培という土を使わない栽培方法があるが、鍬を使って土を耕し、肥料を土に混ぜて作物を育てるのが本来の姿。ましてや、LED照明を使った栽培などはまさに“野菜工場”そのもので、好きになれない」。
など、意見が出された。
研究会に対する問い合わせ先
野本 勇