日時2018年 12月 8日(土)14:00〜16:30
会場 :和光学園  


内容  食物学習を身近な存在にする栽培学習での収穫物の利用


 師走を迎え、ただでさえ、あわただしい毎日を送っている教員にとって、その忙しさに拍車がかかる時期に行われた定例研究会だったためか、参加者は少なめであった。
 さて、この日は、コンニャク作りとサツマイモを使った調理を併せて行うという、ちょっと欲張った内容で実施してみた。材料の準備ならびに実習の指導は野本惠美子氏(和光学園)がされた。試食と片づけを済ませた後、簡単なまとめの討議を行った。
 なお、評価に関する中教審の議論がどこまで進んでいるかについての報告もあったことを付記しておく。検討作業が進められているのは、中教審初等中等教育分科会教育課程部会の中に設けられ た「児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ」で、12月の定例研究会開催時点、すでに11回の会議が開催されているとのことであった。

 この日のテーマの食物学習であるが、まず、コンニャク作りについてである。コンニャクは 漢字で「蒟蒻」と書くが、野本勇氏によると、コンニャク芋の栽培は割合簡単とのことで、今回使用し た芋(写真1)もご自宅の菜園で育てたものだそうである。
 作り方の概略を以下に記す。
@ 芋をよく洗い、皮をむいて、細かく切る(ゴム手袋着用)。切った芋と熱湯をミキサーに入れ、 すりつぶす(写真2、写真3)。
A すりつぶした芋を鍋(アルミ製は不向きで、ステンレス製かほうろう鍋がよい)に入れ、弱火で 煮る。焦げつかないようによく混ぜながら、半透明の糊状になるまで煮る(写真4)。
B 60℃ぐらいにさめてから熱湯でといた炭酸ナトリウム(写真5)を少しずつ加えながら、手早くかき混ぜる(写真6)。
C 型枠(今回はバットを使用)に入れ(写真7)、冷えて固まるまで置く(約3〜4時間)。
D 適当な大きさに切って、30分〜1時間ゆでて(写真8)アクを取った後、水にさらす。
 できあがったばかりのコンニャクを刺身として、参加者みんなで試食してみたが、あく抜きが不十分だったためか、味はよいものの、苦味が口の中に残ってしまった。野本氏のご厚意で、参加者全員に持ち帰り用のコンニャクが用意され、各自の家庭であく抜きをさらにやってもらうこととした。
 次に、サツマイモを使った調理についてである。今回は具材としてサツマイモを入れた味噌汁を作った。これならば、1時間でも実習可能である。なお、使った味噌は野本氏手作りのもので、かつお節でだしをとった。
 サツマイモ(写真9)を一口大に切って鍋に入れ、水を加えて加熱する。沸騰するにつれてアクが出てくるので、ゆで汁は捨てて、別に用意しただし汁にゆでたサツマイモを入れ、再加熱する。仕上げに味噌を入れて(写真10)できあがりである。早速、参加者みんなで試食(写真12)し、その味に  実習終了後に行った討議の中で舌鼓を打った。また、サツマイモにはさまざまな品種があるが、中が鮮やかな紫色をした、紫芋とも呼ばれる品種(写真9の左端の2本)も用意されていたので、煮た(写真11)うえで味わってみた。
  実習終了後に行った討議の中での発言を最後に記しておきたい。「実習をしてみるとわかるのだが、調理実習としてコンニャクづくりを授業の中でやるのには時間的に無理がある」、「サツマイモの栽培で、校庭の片隅しか圃場として使えないなど、場所の制約があって、思うような収量があがらなかったとしても、収穫した芋に大根やニンジンなどの野菜を加えて、味噌仕立ての汁を作る などの実習が可能である。このように、栽培学習と食物学習を結びつける実践ができるから、あまりむずかしく考えないほうがよいのではないか」、「サツマイモの栽培では、『つる返しを途中でやる必要がある。いや、その必要はない』などという話を聞く。どうも品種によるようだ。その品 種にも、最近人気の紅はるか、紅あずま、安納芋、シルクスイート、パープルスイートロードなどがあり、甘みにちがいがある」。





 


研究会に対する問い合わせ先

野本 勇