日時2018年 11月10日(土)14:00〜16:30
会場 :東京都目黒区立目黒中央中学校


内容  若い教員に年配教員が教材・教具作りのヒントを授ける


 この日の研究会の会場は東京都目黒区立目黒中央中学校の地下1階にある技術室で、この会場の使用ははじめてである。
 さて、教員は、授業経験をある程度積んでくると、学習事項を生徒にわかりやすく説明するための教具が欲しくなるのがふつうである。その際、市販品に適当なものがなければ、手作りをしてでも用意しようという気になる。また、生徒が興味・関心を持って授業に食いついてくるような教材を取り上げたいとも考えるようになる。今回は、そのような教員の一人に登場願った。会場校の近藤修氏である。近藤氏には、エネルギー変換の学習を中心に、現在使っている教材・教具を紹介してもらい、問題点や改善点について、参加者みんなで検討してみた。なお、授業経験豊富な年配教員の中に混じって、授業に不安を抱えた、若い教員の姿が参加者の中にあった。
 ところで、今回の学習指導要領改訂に伴って、学習評価、特に、観点別評価についても、大きな変化があった。この評価については、現在、中教審初等中等教育分科会教育課程部会の中に設けられた「児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ」で検討作業が進められ、年内には一定の結論が出るのではないかとされている。そのあたりの状況についての報告があったが、詳しい中味に関しては、時間の関係で次回送りとなった。

@ 経験豊富な教員の助言をもとに手作りの教材・教具の改善点を探る   近藤修
 授業経験はある程度積んだものの、いまだに自信の持てないところもある。その思いを払拭するため、いくつかの研修会に参加してはみたが、「授業では教科書が命。だから、教科書の内容をおろそかにしてはいけない」などと言われてしまい、自分にとってはあまり参考にならなかった。教卓上に簡単な手作り教具を置いて、いつでも生徒が触れるようにしてあるが、授業の合間にそれに触って楽しんでいる生徒たちを見るにつけ、手作りの教材・教具のよさを再認識している。手作り 教材に対する生徒たちの興味・関心は高いので、手軽に取り組める教材を探しているところである。以前、エネルギー変換の学習で、ブレッドボードを使用して回路学習をやってみたことがあるが、 わからないという生徒が多くて不評であった。そこで、サーキット・ツールというキット教材(山崎教育システム(株)製)(写真1)を使って回路学習をした後、別のキット教材を使っての製作学習へと進めてみた。これだと、サーキット・ツール付属の学習セットがあるため、スムーズに学習が進められるが、どこまで製作教材と結びついているのか、不安がぬぐえない。よい手作り教材を考える際のヒントがほしい。
 近藤氏の報告後の討議では、エネルギー変換の学習に関する教材・教具の検討だけでなく、技術分野の学習全般にわたって意見交換がなされた。そのなかからおもだったものをあげておく。
 「教材として使えそうなものが技術室内のあちらこちらにころがっているように思う。これを授業にうまく生かせるかどうかは、指導する教師側の創意と工夫にかかっている。たとえば、教室内で空き缶を見つけたが、これだけで子どもが興味と関心を抱くエネルギー変換の導入部の授業が組み立てられる。この空き缶に水を少量入れ、蓋をしないで加熱後、用意した水槽内に放り込むとか、缶の外から水をかけるとかすると、缶が大気圧でものの見事につぶれる様子が観察できる。子どもたちからアンコールの声がかかったら、空き缶より一回りも二回りも大きな缶を使い、再度やってみせればよい。こうした工夫を日頃から考えて教材研究に取り組むとよい」、「白熱灯・蛍光灯・LED電球の3種類の点灯状態がスイッチのON,OFFで確かめられる手作り教具が教卓上にあった。生徒が自由に触って、点灯の様子を確認しているとのことだが、大変よいことだと思う。電力計とこの教具を組み合わせることで、計測・制御の学習に結びつけることも可能となる。そのような利用法もあることを考えあわせると、3種類の電球が一枚のボードに取りつけられていると好都合だと思 う」のように、技術室内にある教具の工夫・改善にかかわる意見が複数あった。
 その他にも、「製作学習とその前段階の理論学習とをうまく結びつける教材の選定には誰しも悩むところだが、授業時数との絡みを忘れてはいけない。ものづくりにかかわる学習では、単なる製作に終わるのではなく、理論学習の時間もある程度は必要と考える」、「栽培学習では、他の領域の学習とは異なる悩みもつきまとう。その代表が水と土の問題ではないか。たとえば、校舎屋上を利用したプランター栽培の場合、水やりのためのホースの設置や生徒の出入り一つをとってみても、防犯上や校舎管理上から、管理職だけでなく、全校職員の了解が必要となってくる。また、袋栽培やプランター栽培で使用した土の処理や後始末についても、その扱いを事前に確認しておく必要がある」などのような意見があった。





 


研究会に対する問い合わせ先

野本 勇