日時2017年10月14日(土)13:30〜16:00
会場 中大付属中(工作室)


内容 授業実践から教材・教具あるいはジグの適確性を見直す


   第二土曜日の午後に10月の定例研究会を実施したが、参加者は少ないながらも、目の前の教材の数々を題材に、かなり突っ込んだ討議がなされた。
 さて、日々の授業をよりよいものにしていくため、教材・教具あるいはジグをどう工夫するかをこの秋以降の研究活動の中心に据えて行こうという方針の下、授業実践を進めている。子どもたちは興味を持続させて学習に取り組んだか、教師はわかりやすく楽しい授業になるよう心がけたかという点について、教具・ジグの適切な使用の面や製作教材の妥当性から授業実践を振り返ってみるのが、この日の研究会のテーマである。授業実践の報告者は会場校に勤務する禰覇陽子氏である。  また、常任委員の金子政彦が、授業を成功に導くためのコツについて、手作り教具を中心に、その作り方から使い方に至るまで、授業実践を交えながら紹介した。

@授業後の生徒の感想文から木材加工の授業を振り返る         禰覇陽子
 木材加工の学習では、3種類の作品を作らせている。最初は、杉の丸太材を加工してペン立てに仕立てる(写真1)。次に、厚さが10mmで、一辺の長さが100mmの正方形状の杉板を使ってのスタンド(スマートフォン用スピーカ)作り(写真2および3)。最後に、ヒノキの板材を用いてのレターラック の製作(写真4および5)へと進む。レターラックはフリーソフトの簡易CADソフトを使って設計させ、それをもとに部品図を手書きでかかせた。材料は1枚の板から4人分を切り出すようにした。作品製作にあたっては、自分の作ったものに対する満足度を第一に考え、作品の精度を上げるのは二の次に考えて指導してきたが、果たしてこれでよかったのか、改善すべき点はどこか。
 禰覇氏の問題提起を受け、活発な意見交換がなされた。出された意見の中からおもだったものを あげておく。「作品の表面を紙やすりでていねいにみがかせるなど、作品をきれいに仕上げることを心がけていると実践者は言うが、作らせるからにはやはり、精度の高い作品に仕上げることを追究するのを目標にすべきではないか。そのためには、精度を高めるコツを指導する必要がある。もちろん、そのために工具をどう使わせるかということも大切。ただ、図面どおりに作れるほどの技能を持ち合わせている生徒はそう多くはないのは確かだ」、「今の生徒の技能レベルから考えると、どう見ても精度を上げたものを作るのはむずかしい」、「実践者はペン立て、スタンド、レターラックの順に3作品を製作させている。複数の作品を連続して製作させる場合、ふつうに考えれば、製作順序としては作品レベルの易なものから難なものへとなるはず。作品の難易度としては、3作品は易なものから順に、ペン立て、レターラック、スタンドとなるはず。また、3作品の材質が杉と檜になっているが、スタンドかレターラックのどちらかで集成材の利用を考えてみてもよかったのではないか。こうすれば、材料としての木材の学習の幅が広がると思う」、「レターラックの生徒作品を見ると、バラエティーに富んでいておもしろいが、自分の技能レベルを考えていない作品も散見される。デザインを無制限に認めて設計させるのではなく、基本形に手を入れて創意工夫をさせるところは 1,2箇所に制限させるなどしたほうがよい」、「けがき作業は型紙方式をとるのがよい。工作用紙などに原寸で製図させ、それを材料となる板材に載せてけがきをさせるわけである」、「道具を使う場面が日常の生活の中にほとんどないわけだから、のこぎり一つをとってみても、力を入れるのはひくときだけで、押すときには力を抜くといったコツを伝授する必要がある。親指と人差し指の2本の指だけでのこぎりを持ってのこぎりびきができることをやってみせるのも、力の入れ方を体得させるのに有効」。

A授業準備の舞台裏をのぞく―教具づくり編              金子政彦
 これは、2008年の産教連主催の全国大会(水戸市で開催の第57次技術教育・家庭科教育全国研究大会)の実践講座で使われた資料の中から、手づくり教具の作り方および使い方に関する部分を抜き出して報告したものである。「よいと思った教具に出会ったときには、迷わず即座にそっくりまねをして作って使ってみる。その後、自分流に手を加えて改良する」といったふうに、手作り教具の作り方のコツに始まり、作った教具の活用のしかたに至るまで、こと細かに紹介した。  紹介された教具はテーブルタップ検査器であるが、その内容についての討議は、時間の関係で次回へ持ち越しとなった。


 
 


研究会に対する問い合わせ先

野本 勇