日時2017年5月13日(土)14:00〜16:30
会場 中大付属中(工作室)
内容 それぞれの学校の条件にあわせた栽培学習への取り組みを
第二土曜日の午後、5月の定例研究会を実施したが、あいにくの雨模様で、参加者も少なめであった。今回の会場使用は昨年(2016年)10月以来である。
さて、この日の研究会のテーマは、学校の状況にあわせて栽培学習にどう取り組むかである。当日は参加者みんなで会場校の栽培の様子を見学した後、会場校に勤務する禰覇陽子氏からの報告を受け、それをもとに討議を進めた。また、今年(2017年)3月31日に告示された新学習指導要領についても検討してみた。
禰覇氏は、勤務校での栽培学習の実践状況を次のように報告された。「校舎3階の中庭の一部を栽培学習の実習用地として使い、2年生を対象に、ナスやミニトマトなどの作物を育てている。レンタルした小型耕耘機で、昨年度末に実習用地を耕している。現在のところ、栽培学習にあてている時間は数時間程度である。実践を進めていくなかでは苦労が絶えないが、今後も取り組んでいく予定なので、本日の討議の中から今後の実践のヒントを得たい」。
その後の討議で出された意見の中からおもだったものをあげておく。「実習用地が校庭の隅にでもあれば、ボールが飛んできて作物に当たるなどという心配があるが、ここはそのようなことを気にする必要もなく、条件的には恵まれた栽培用地だ。ただ、屋上に近い敷地に人工の培養土を入れてあるようなので、水はけがどうなのかが気にかかる」、「今後もこの場所を利用して継続的に栽培学習に取り組むのであれば、カラスなどの鳥害の予防としてネットを張るなどの対策も考えておく必要があるのではないか」、「同じ場所でナスやトマトを毎年のように作り続けていると、連作障害が必ず起きる。それを避けるには、作る作物を年度によって変えるか、連作障害の起きにくい作物を取り上げるか、よく考える必要がある。鉢や袋による栽培と組み合わせるなどして、連作障害を回避する手立ても考えられる」。
「野菜は、長い期間、手間暇かけて育て、ようやく収穫できるようになる。その野菜が安い値段で八百屋の店先に並んでいるのはどうしてなのか。そこから農業について考える糸口をつかませるような栽培学習をめざしていきたい」との禰覇氏からの話で締めくくった。
研究会の最後に、昨年度末に告示された新学習指導要領について、短い時間ながら意見交換
をした。まず、新学習指導要領案に対してのパブリックコメントの結果の概略について、家庭科、技術・家庭科ならびにプログラミング教育を中心に報告がなされた。その後、小学校家庭科および中学校技術・家庭科について、案の段階から変更された箇所の説明がなされた。家庭科では1箇所、技術・家庭科では3箇所の修正箇所があったとのことで、いずれも家庭科に関する部分とのことだった。
意見交換で出された発言をまとめると、概ね以下のようなものである。「技術・家庭科の教科目標の冒頭部分に『生活の営みに係る見方・考え方や技術の見方・考え方を働かせ,生活や技術に関する実践的・体験的な活動を通して,……』とある。“生活の営みに係る見方・考え方”という文言は家庭分野の目標で、“技術の見方・考え方”という文言は技術分野の目標で、それぞれまた登場しており、くどいという印象だ。この部分はないほうがすっきりする。また、“技術の見方”は『技術的なものの見方』あるいは『技術に対する見方』という意味だと思うが、技術的なものの見方とか考え方はこの教科の授業を受けるなかで身についていくもので、技術に対する見方・考え方ははじめから備わっているものではない。こうした見方・考え方が子どもに備わっていることを前提とした教科目標はおかしい」。
教科目標以外の他の部分については、時間の関係で検討できなかったので、機会を改めて検討することを確認し、研究会を閉じた。
研究会に対する問い合わせ先
野本 勇