日時2017年4月22日(土)14:00〜16:00
会場 和光学園( 技術室 )


内容 歴史的にも重要な旋盤を使ってペーパーウェイトの製作に挑戦


 4月の定例研究会は新学期が始まってから2週間あまり経った第四土曜日の午後に実施した のだが、研究会の終わる夕方近くから雨が降り出すあいにくの天気になるなどの状況のためか、参加者はいつもより少なめであった。
 この日のテーマは金属加工で、ミニ旋盤を用いてペーパーウェイトの試作をしながら、旋盤を用いた切削加工を授業で扱う場合のポイントや指導上の留意点について検討してみた。製作用の黄銅丸棒(製作時間の関係で、すでに所定の長さに切断済み)は今夏の大会(第66次技術教育・家庭科教育全国研究大会)でも担当する予定の諏佐誠氏が準備し、旋盤は会場校の亀山俊平氏のご厚意で借用させていただいた。
 参加者の一人の野本勇氏は、「産教連が編集した自主テキスト(現在は絶版)『技術史の学習』の 中の“せんばんの歴史”をもとに手作りした資料を使い、道具から機械へ進歩・発展していく過程について学習していくなかで旋盤を取り上げ、この機械がいかにすばらしいかを概説している」と述べていた。
 材料を固定したうえでその場で回転させ、バイトと呼ばれる刃物で切削するのが旋盤なのだが、現在の教科書ではごく軽い扱いしかなされていない。この旋盤について、ある参加者からの「教科書でもごく軽くしか扱われず、授業時間数の関係から旋盤を使うこともまずない。しかも、生まれてから一度も旋盤をいじったことのない技術科教員も相当数いる。そんなわけで、旋盤が技術室の 隅で埃を被ったままになっている学校もあるようだ。このような状況下であえて旋盤を取り上げる意図を明確にしておくべきではないか」という問いかけをきっかけに、討議が白熱化した。以下はその後の討議の中から、おもだった発言を記しておく。
 「今の子どもにとっては、旋盤は見たこともない代物のはず。そこで、旋盤のイメージを持たせるため、はじめは金属を削る旋盤ではなく、木工旋盤を取り上げてみるのがよいのではないか。鎌倉彫のお盆、木製の野球用バット、こけしなど、子どもがよく知っているような品物がどうやって作られているかを考えることから旋盤の学習を始めてみてはどうか」、「木工旋盤や円形の陶器を作るのに使う轆轤を例にあげ、少しずつ旋盤のイメージを持たせていくのがよいのではないか」、「金属を使った製品の部品加工に使われることが多いのが旋盤である。したがって、旋盤加工の必 要性を一目で提示できるような金属製品が身近にあればよいのだが、適当なものがなかなか思いつかない」、「木材加工の作品の一部に金属が使われているような教材、たとえば、引き出しつきのCDラックを作り、引き出しの取っ手に旋盤加工した金属製のつまみをつけるというのはどうか」、「金属加工は指導する教師側にある程度の経験が必要である。その意味では金属加工を取り上げる のはかなりハードルが高いのかもしれない」、「“文鎮”と言うと今の子どもは『ださい』と思うだろうが、“ペーパーウェイト”と言えば『かっこいい』と思うだろう。そのうえさらに、製作品の一部にバリエーションを持たせれば、ペーパーウェイトは教材として立派に成り立つ。つまり、子ども受けすることになる。また、指導時間の短縮も兼ね、製作品の一部に既製の部品を使うよう にすれば、そこからJISやISOといった規格にも目を向けさせることも可能になる」。  






研究会に対する問い合わせ先

野本 勇