日時2016年 3月 5日(土)14:00〜16:30
会場 八王子学園(工芸室)
< 実験で確かめつつ学ぶ各種金属の特徴 >
年度末を控え、成績評価のための仕事や事務処理に忙しい先生方が多いためか、3月の定例研の参加者は少なめであった。研究会の開始前、技術室の整備状況や各種の道具管理のコツなどについて、情報交換をする参加者の姿が見られた。
さて、今回のテーマは金属加工である。この日は、身の回りにあふれている金属について、
子どもの興味・関心を持続させつつ、楽しく学ばせるにはどうするかという点を主眼に、研究会を進めた。
はじめに、授業での指導経験豊富な参加者たちが、代表的な金属である鉄、いや、鋼について、黒板(ホワイトボード)に状態図をかきながら、その特徴を解説し合い、指導上のポイントを確認した。その後、形状記憶合金を使った実験(写真1および写真2)や湯に融ける金属(融点70℃の金属を使用)を使った実験(写真3)などを行った後、低融合金を利用しての鋳造による作品づくりに挑戦した(写真4)。
研究会の最後に、金属の加工を取り上げて授業をする際のポイントや注意点について、討
議(写真5)をした。「曲げようとしても容易には曲がらないほど硬くて丈夫なうえに、簡単には融けないと言うのが金属だと、多くの子どもが抱いているイメージではないのか。ところが、容易には手で曲げられなかったピアノ線が、焼き入れが終わった途端に簡単に折れてしまうということを体験したり、ハンダのように簡単に融ける金属もあるということを目の当たりにしたりすることによって、金属に対する見方が変わってくる。金属に関する学習では、そうした子どもの驚きや感動を大事にして、金属に対する新たな見方・考え方を持たせたい」、「低融合金を利用した鋳造作品の製作や形状記憶合金その他を使った各種実験を通
じて、鉄のように硬いものが金属だと思っている子どもの意識を変容させることに主眼を置いて、授業を組み立てていったらどうか」、「大量生産が幅を利かせている今の産業界においては、金型づくりもかなり重要な位置を占めている。将来、こうしたことに携わる人も出てくることを予想し、金属を使って、塑性加工・切削加工・鋳造などのさまざまな加工法を義務教育段階で体験させ、金属に親しみを持たせておくことも意義がある」などの意見が出された。
永澤悟
野本勇 isa05nomoto@snow.plala.or.jp