日時2015年 12月 6日(土)13:00〜16:30
会場 和光小学校

< 民教連に加盟の教育研究団体の仲間とともに考える >


 「すべての子どもに楽しい学びを、豊かな学びを生きる力に」をメインテーマにした日本民教連(日本民間教育研究団体連絡会)主催の交流研究集会が毎年12月はじめに行われている。今回も12月の定例研はこの研究会に参加することで代えることにした。29回目を迎える今年(2015年)の研究集会は12月の第一日曜日に開催され、産教連も日本民教連の加盟団体の一員として参加し、日頃の研究の成果を紹介するとともに、他団体の仲間と意見を交換し合い、交流を深めた。

 当日は、午前中の全体会および講演に引き続いて、午後からは6つの分科会に分かれ、それぞれの参加団体から出された実践報告あるいは研究レポートをもとに討議がなされた。ここでは、産教連が参加した第6分科会「子どもとつくる授業」の様子を、産教連の発表を中心に紹介したい。
 第6分科会には、手労研(子どもの遊びと手の労働研究会)、技教研(技術教育研究会)、全民研(全国民主主義教育研究会)、新英研(新英語教育研究会)、教科研(教育科学研究会)、商教協(全国商業教育研究協議会)、それに産教連の各団体の会員があわせて15名ほど参加していた。産教連の参加者は4名であった。
 分科会では、産教連・手労研・新英研・技教研・全民研の各参加団体から1本ずつの発表レポートがあった。金子政彦(産教連)の「中教審審議にもの申す―技術教育・家庭科教育の条件整備をめざして―」、新谷祐貴氏(手労研)の「ものづくりクラスづくり―子どもの『できない』を『できた』に変える生活科の授業づくり―」、蒲原順子氏(新英研)の「英語のコミュニケーション力をつけることの意義と課題」、吉澤康伸氏(技教研)の「ダイコンの袋栽培から分かる生徒の様子―生物育成の学習にどんな意味があるのか―」、武藤章氏(全民研)の「広がれ『弁当の日』」の5本である。
 産教連を代表してレポート発表した金子は、産教連主催の全国大会(第64次技術教育・家庭科教育全国研究大会)の基調提案で問題提起した教育条件整備に関する内容について、まとめ直したものを報告した。

中教審審議にもの申す―技術教育・家庭科教育の条件整備をめざして― 
  金子政彦
 技術教育・家庭科教育、特に、小学校の家庭科あるいは中学校の技術・家庭科が直面している問題は何か。一つは、専任教員がいない学校が多いということである。もう一つは、まともな技術教育・家庭科教育がやりづらいほどの授業時数であるということである。
 専任教員がいない場合、どのような対応をとるか。他教科の教員に免許外教科担当の申請を出して、臨時免許を取得させて授業を担当させる。正規の教員免許を所持する教員を非常勤講師として採用する。専任教員に複数校兼務を発令する。いずれの場合にもいろいろな問題点がある。根本的な解決策は専任教員を増やすことで、専任教員が校内にいることのよさははかりしれない。
 現在の小中学校の家庭科あるいは技術・家庭科の授業時数は、まともな技術教育・家庭科教育を行うには少なすぎる。ことに、中学校3年の技術・家庭科の週1時間はひどすぎる。これでは1ヵ月間の授業が2回ほどにしかならず、学習事項の定着など望むべくもない。せめて週2時間の授業が可能になるようにしてほしい。
 問題解決のため、教科の置かれた状況を広く訴えるなど、地道な運動を続けていきたい。それと合わせて、現在、学習指導要領の改訂について審議中の中教審に対し、要望事項をその審議に反映させる手立てを考えたい。関連して、中教審の審議状況だけでなく、教育再生実行会議の動向にも注視していく必要がある。
 討議のなかで出されたおもな意見は次のようなものであった。「中教審の委員に学校現場の実情を訴えて理解を求めていくようなことももちろん必要だが、職場の同僚に教科の抱える実情をねばり強く訴え続けることもさらに大切だと思う。技術・家庭科の専任教員がいないという状況が当たり前のことだと、同じ職場の同僚だけでなく、授業を受ける生徒たちにまでも認識されてしまっている現状を何とかしなければいけない」、「ものづくりにかかわる授業実践の報告がなされたが、ものづくりのよさを多くの人に共有させたい。そうすることによって交流の輪が広がっていくはず、「今進められている教育改革は子どものことを真に考えているのか、再度検証していく必要があるのではないか」、「日本民教連に所属する仲間だけでなく、教職員組合に結集する仲間とともに手を携え、子どもを変えるという視点で、歩調を合わせて運動を進めていく必要があるのではないか」。

 

永澤 悟  
野本 勇