日時2015年 9月 12日(土)14:00〜17:00
会場 八王子学園

< 大会報告 >


      今夏の全国大会後最初の定例研究会であるが、残念ながら参加者は少なめであった。9月は、体育祭や文化祭などの学校行事の準備で、ただでさえ忙しい学校現場にさらに拍車がかかったためと思われる。
     今回は、大会の成果をこれからの授業実践にどう生かすかという点を主眼に、研究会を持った。具体的には、教材教具発表会あるいは匠塾(実技コーナー)で取りあげられた教材・教具の中から、根本裕子氏(茨城県小美玉市立羽鳥小学校)の文庫本サイズのブックカバーの製作を中心に研究会を進めた。
  この日は、ブックカバー以外にも、大会で入手した圧電素子、匠塾で取りあげられたのこぎりびき評価装置についても、意見交換をした。LEDを圧電素子につないでLEDの光り方を  確かめる実験をしながら(写真1)、その用途についての議論がしばらく続いた。のこぎりびき評価装置については、次回に詳細に検討する予定なので、正確にのこぎりびきするためのジグの作り方と使い方を中心に議論をした。
   さて、ブックカバーの製作であるが、ミシンを使わずに手縫いで進めることにし、その製作指導を野本惠美子氏にお願いした。布と型紙つきの製作の手引を手渡された参加者は、野本氏の指導のもと、針と糸を手に、作業に取りかかる。作業に手間取っている参加者には野本氏の指導がすぐに入るためか、作業も順調に進む。少人数による授業のよさがよくわかる。「あらあら、これでは布地の向きが逆ではないの?」、「待ち針はこのように打つといいのよ」、「このまま縫い進めると、本が入らないかもね」などと、落ちこぼれ寸前の参加者にも手取り足取りで懇切丁寧に手ほどきする野本氏であった。野本氏のわかりやすい指導もあってか、どの参加者も50分ほどで完成させていた。
     野本氏は、作業終了後、「根本先生は端切れ同士を縫い合わせて別の布に仕立てて使わせてもいる。この布がまた好評とか」、「ベルトやしおりを布で作らせたこともあるが、大変だった経験がある。作業時間も短縮できるので、市販品を利用するのが得策」、「ブックカバー作りの手法を利用すれば、これを枕カバー作りに応用できる」などと、経験者の立場から話されていた。
 参加者からも、「野本先生の親切な指導があったので、完成にこぎつけたが、渡された製作の手引を見ただけではやり方がよくのみこめなかった。『手引のプリントをよく見て作業するんだぞ』と生徒を突き放すみたいな言い方をすることがよくあるが、手引を見た生徒な  ら誰でもできるように記述されていないとまずいということがよくわかった。手引の記述内容について振り返るよいきっかけにもなった」、「はじめて作ってみて、まちがえやすいところや失敗しやすい箇所がわかったので、もう1回作れば、前より早くきれいにできると思う」などの意見が出された。
   討議の後半部分では、しつけ糸の話をはじめとして、製作にかかわる話がいろいろと出された。このブックカバー作りについては、『技術教室』(現在は休刊)2010年4月号にも掲載されているので、参照されたい。

 
 
永澤悟  
野本勇 isa05nomoto@snow.plala.or.jp