日時2014年 12月 13日(土)14:00〜17:00
会場 八王子学園
<実験・実習を通じて金属に対する親しみを子どもに持たせる>
師走とも呼ばれる12月は、文字どおり、教員にとっては忙しい時期である。それにもかかわらず、新潟から駆けつけた先生を含め、かなりの参加者があった。
さて、今回はキーホルダーの製作を中心とした金属加工がテーマであったが、参加者のほとんどに製作経験のあることがわかり、すべての製作をすることはやめ、製作上でポイントとなる作業について、指導上の留意点の検討を中心に研究会を進めた。
研究会の冒頭、各種の金属を持ち込んだ藤木勝氏(東京学芸大学)が、興味あるさまざまな実験を披露された。また、産教連が当面取り組むべき課題は何かという点についても、検討してみた。
@金属を使った実験をとおして子どもに興味・関心を持たせる 藤木勝
金属は身のまわりにあふれているが、大人も子どももあまり意識しないで使っているのがふつうである。その金属に改めて目を向けさせ、金属加工学習の導入として有効にはたらきそうな実験をいくつか紹介したい。
藤木氏がこの日取りあげられた実験を紹介する。手で形を変えても、湯の中に入れると元の形にもどるという形状記憶合金。湯に入れると融ける金属(この日はU−アロイという名称の金属を使用)。ピアノ線(この日は直径0.55mmのものを使用)をガストーチで加熱し、火花を出させる(線香花火のように見える)。その他に、形状記憶ポリマーを利用したフォークや形状記憶合金を使って温度差を利用して回転させる玩具。
Aキーホルダーの製作を通じて金属の性質を知る 野本勇(品川区立荏原第六中学校)
2年で金属加工学習を行っている。生徒自らが実験をしながら、金属を使って丈夫な構造にするための工夫を学んだ後、熱処理や火花試験などを交えながら、金属の性質・特徴について学習する。その後、黄銅製の棒材を使ったキーホルダー作りに移る。作業時のミスを可能な限り防ぐ手立ても講じた。たとえば、黄銅棒をD環状に曲げる作業で材料を折ってしまう生徒が続出し、その対策として、折り曲げ前に黄銅棒を焼きなましたり、はじめから焼きなましを施した材料を渡したりした。めねじが切られたスペーサーに止まり穴をあける際、ドリルストッパーを使って確実に所定の深さの穴があけられるようにした。
その後の討議では、「キーホルダーの飾りの部分は鋳造で作る。流し込んで固まった作品を鋳型から取り出した後、形を整えるために金工用ヤスリで削っている例が見受けられるが、鋳造による製品は鋳造後に切削加工を施さないですむように製作するのがふつうである。したがって、鋳造後の仕上げは紙ヤスリで研磨する程度にとどめたい」、「ダイスによるねじ
切りやドリルによる穴あけで、材料をダイスやドリルに対して直角に固定する必要があるが、生徒にとっては、ジグがないと作業がむずかしい。ところが、この点についての注意を促したり、ジグの使用について言及している教科書はない。もし少し、きめ細かな記述を教科書に望みたい」などの意見が出された。
B産教連が当面取り組むべき課題について考える 金子政彦(常任委員)
2014年11月20日、学習指導要領の全面改訂が中央教育審議会(中教審)に諮問された。英語
教育の充実や日本史の必修化などが諮問内容の柱となっている。中教審は、平成28年度中に諮問に対する答申を行い、平成32年度以降、小学校から順次実施するとしている。中教審の審議スケジュールを考えたとき、新学習指導要領の内容決定に関して、産教連としても、具体的な何らかの運動を展開していく必要があるのではないか。
時間の関係で問題提起だけにとどまり、別の機会に改めて討議を進めていくこととした。
永澤悟
野本勇 isa05nomoto@snow.plala.or.jp