日時2014年 11月 15日(土)14:30〜18:00
会場 上板橋第二中学校
<Scratchソフトで入出力制御
>
11月の定例研究会では、Scratchやそれを利用したロボットカーに関して、数々の授業実践を発表されている新村彰英氏(東京都板橋区立上板橋第二中学校)にお願いして、Scratch
を使った入出力制御方法の学習と実機製作を合わせた内容の研究会を行っていただいた。この日は、都内や首都圏近郊の学校の先生方の参加だけでなく、福島・新潟・沖縄などの遠方からの参加もあり、総勢19名での開催となった。産教連会員の先生方に加えて、講師の新村氏の呼びかけに応じて参加された先生方もあり、最近では最も多くの参加者があった。
一昨年(2013年)10月にも、新村氏にお願いして、今回と同じ会場校でプログラミングの講習会を実施している。
@実機の製作
まずはじめに、制御用ソフトウェアと組み合わせて動作させるロボットカーを製作した。このロボットカーは、マイコンボードとして「ちっちゃいものくらぶ1)」が頒布している「なのぼ〜どAG2)」を使用し、同じく「なのぼ〜どAG用ギアモータ3)」と「タイヤ4)」、ユニバーサルプレートや万能フレームで車体を作り、CdSを前後に取りつけたもの(写真2)である。
万能金具でギアモータを車体に取りつける作業などは難易度がやや高めであり、生徒に製作させるのは難しいようにも思われた。とは言え、車体そのものは、なのぼ〜どAGのモータドライバにモータがつながっていて、タイヤが動く状態にあり、かつ、CdSがI/Oポートにつながっていればよく、車体の構成にはまだまだ改良の余地があるとのことであった。この日はおよそ2時間弱で全員が製作を完了することができた。
A制御用ソフトウェア「Scratch」の操作
制御用ソフトウェアには「MITメディアラボ ライフロングキンダーガーテングループ」の「Scratch5)」を利用する(写真3)。最新版のScratchはWebブラウザ上で動作するWebアプリ
ケーションだが、今回使用したのはインストールを要するバージョン1.4をなのぼ〜どAG用に拡張したものである。拡張に必要なものとして、USBシリアルPL2023HXデバイスドライバーおよびなのぼ〜どAG用Scratch起動イメージファイルがある。どちらもちっちゃいものくらぶのWebサイトで入手できる。
Scratchは、「χ歩動かす」「向きをχ度変える」などの動作セットを定義したブロックを積み上げていくことで、スプライトと呼ばれるオブジェクトを動かしていくプログラミングソフトウェアである。分岐構造や繰り返し構造を構成するためのブロックや、演算用のブロック、モータを制御するブロック、センサの入出力を制御するブロックなどもあり、ある程度複雑なプログラムでも直観的に組んでいくことができる(写真4)。
注意したいことは、なのぼ〜どAGが認識されているCOMポートをデバイスマネージャーなどで確認し、そのポート番号をScratchで選択しておかないと、正常に動作しないということである。
この日は、次のようにしてScratchを体験した。
@まずは、スプライトを左右へ動かすことに慣れる。繰り返し構造で動かし、画面の端まで行ったら、反対側へ向きを変える。
A前後CdSの値を読み込み、明るい側へスプライトが向かうようにする。
Bスプライトの動作ブロックをモータ制御のブロックに変更し、ロボットカーの動作をセンサの値で制御する。
今回の研究会では、参加者自ら実機を製作し、各自持参のパソコンに必要なソフトウェアをインストールし、実習を行った。その後、参加者銘々でいろいろなアイデアを考えて、試行錯誤をすることができる形をとった。年明けには、その結果を発表・検討し合う研究会が開催される予定なので、今回製作された方もそうでない方も、ご参加いただければ幸いである。
(註)
1)ちっちゃいものくらぶ (http://tiisai.dip.jp/)
2)ちっちゃいものくらぶ なのぼ〜どAG(完成品送料込 2,000円)
3)ちっちゃいものくらぶ なのぼ〜どAG用ギアモーター(送料別 300円)
4)ちっちゃいものくらぶ タイヤ(送料別 100円)
5)Scratch―想像、プログラム、共有(http://scratch.mit.edu/)
永澤悟
野本勇 isa05nomoto@snow.plala.or.jp