日時2013年12月 1日(日)10:00〜16:30
会場 和光小学校

民教連加盟団体の仲間とともに考える


  「すべての子どもに楽しい学びを、学びを生きる力に」をメインテーマにした日本民教連(日本民間教育研究団体連絡会)主催の交流研究集会が毎年12月はじめに行われている。今回も12月の定例研はこの研究会に参加することで代えることにした。27回目を迎える今年(2013年)の研究集会は12月の第一日曜日に開催され、産教連も日本民教連の加盟団体の一員として参加し、日頃の研究の成果を紹介するとともに、他団体の仲間と意見を交換し合い、交流を深めた。
 当日は、午前中の全体会および講演に引き続いて、午後からは6つの分科会に分かれ、それぞれの参加団体から出された実践レポートをもとに討議がなされた。ここでは、産教連が参加した第4分科会「教育実践講座U」の様子を、産教連の発表を中心に紹介したい。  第4分科会の参加者の内訳では、産教連の4名が最も多かった。分科会の冒頭に参加者の自己紹介をしたが、「所属する団体の会員の減少傾向に歯止めがかからなくなってきている。今後は、若い世代の会員をいかに取り込むかが鍵だ」と、何人かがその悩みを吐露していた。産教連も同様の悩みを抱えているのは事実である。
 分科会では、産教連・同志会(学校体育研究同志会)・技教研(技術教育研究会)・数教協(数学教育協議会)の各参加団体から1本ずつの発表レポートがあった。藤木勝氏(産教連)の「技術教育・家庭科教育の教育条件と教育課程を考える」、菅野忠行氏(同志会)の「80m走ペースコントロールの学習」、辰巳育男氏(技教研)の「技能と仲間が自信を育む工業高校の機械実習」、塩沢宏夫氏(数教協)の「星形五角形―教科教育法でのひとこま(続)―」の4本である。
 産教連を代表してレポート発表した藤木氏は、産教連主催の全国大会(第62次技術教育・家庭科教育全国研究大会)での全体討論会の内容について、教育条件問題を中心にまとめたものに、教職員に関して独自に調べた豊富な資料をつけ加えたものを報告された。

技術教育・家庭科教育の教育条件と教育課程を考える            藤木勝
 専任教員の不在から生じる問題、どう考えても少なすぎる授業時間数に起因する問題、教職員の勤務条件の変化にかかわる問題、劣悪な施設・設備に関係する問題、評価・評定に関する問題など、技術教育・家庭科教育を巡って、教育現場からの生の声を聞くと、大変な状況が浮かび上がってくる。これらの諸問題の解決には、その原因はどこにあるのかを正しく見極めなければいけない。それを確かめる切り口として、技術・家庭科の誕生とその後の教科時間数の変遷を押さえておくことは欠かせない。また、専任教員の不足を補う手だてとして、臨時的任用教員や非常勤講師での対応、臨時免許状を発行しての対応がとられているのが現状である。これらの問題について、教科を超えて考えていかなくてはいけない。  その後の討議のなかで出されたおもな意見は次のようなものであった。全般的なものでは、「数学ならば同一の結論に到達するのに何とおりかのやり方があることが多いが、ものづくりでは、この手順で作業を進めないといけないというように、このやり方しかないという場面がけっこうある。一方、同じ製品(作品)を作る場合、材料を切削して作る、鋳造によって作るなど、いくつかの方法が考えられる場合もある」、「今の時代、学校教育、とりわけ、学校で働く教員に対する風当たりが強い。教育に対するさまざまな問題を抱え、厳しい教育条件下で仕事をする教員の生の姿を教育関係者以外の一般の人々にどうやって伝え、その現実を理解してもらうかを考えねばならない」などがあった。教育条件や技術教育・家庭科教育にかかわるものでは、「学習指導要領の改訂のたびに授業時間数が減らされてきている。当然、技術室や調理室などの特別教室の使用頻度は以前より下がった。以前は木工室・金工室のように2教室必要であったものが、現在は1教室あればよいということになり、校舎改築などでは実習室の設置数が減らされてしまう」、「現在、小学校の一部の学年を除いて40人学級になっている。技術・家庭科のような実習を伴う教科では、作業効率や安全指導の面からは25〜30人が適正な学級規模と言える。どうすれば、これが実現性のあるものになるか」、「最近は通知票や指導要録などの作成をコンピュータで行うことが多くなっている。加えて、児童・生徒の個人情報の校外への持ち出しが禁止され、校内で事務処理することが必然となり、教職員の在校時間が昔より飛躍的に延びている現実がある。このような状況を打開し、子どもと向き合う時間を増やしたり、教材研究に当てられる時間を増やしたりということが急務なのではないか」があった。


永澤悟  
野本勇 isa05nomoto@snow.plala.or.jp