日時2013年11月 19日(土)14:30〜16:00
会場 品川区立荏原六中学校
(家庭科室)

内容 栽培学習と食物学習を効果的につなげた指導法を追究する



11月ともなれば、暖かな日差しが嬉しい時期だが、研究会当日はあいにくどんより曇った天気であった。今回の会場は真新しい校舎4階の調理室である。この日のテーマは“育てて食べる”で、「生物育成」と「食物」をどう結びつけて授業実践を進めるかを、実際に調理実習をしながら検討してみた。ただ、参加者が少なかったのが残念である。  問題提起は会場校(東京都品川区立荏原第六中学校)の鈴木智恵氏と野本勇氏にお願いし、調理実習の指導は鈴木氏にお願いした。家庭科での授業実践はこれから行うとのことで、研究会で検討したことを授業のなかで生かせるよう討議を進めることにした。
@小松菜を栽培して調理する                      野本勇  本年(2013年)4月より現任校に赴任し、前任者の立案した指導計画も考慮しながら、本年度の授業を進めている。生物育成の学習は、前任校ではプランター栽培であったが、現任校では屋上菜園が整備され、培養土の確保や栽培作物の選定の自由度の点で実践がやりやすい と判断した。作物の生育を考えると、1学期に栽培学習を行うのが望ましいが、指導計画の関係で2学期に栽培学習に取り組むことにした。授業のなかで播種から収穫までを終わらせるとなると、葉菜類(キャベツや小松菜など)や根菜類(ダイコンやカブなど)の栽培が考えられるが、菜園の規模や栽培準備を考え、二十日大根・小松菜・カブ・春菊などのなかから栽培作物を選ぶことにし、最終的に小松菜の栽培に決めた。収穫後の小松菜を食することを熱望し、家庭科の協力をお願いした。  「栽培のしやすさを考えて小松菜を選んだが、菜園に肥料分が極端に少なく、肥料不足で葉が黄変してしまい、収量が大幅に少ない結果となってしまった。生徒たちの様子はというと、屋上にあがることを大変喜んでいたが、いざ土いじりをするとなると、尻込みをする生徒が多かった。したがって、栽培途中の雑草取りが大変だった。そんなわけで、ふつうは途 中で間引き作業を入れるような播種のしかたをするのだが、直播きのバラ播きにした」と、野本氏より補足説明があった。研究会終了後に野本氏の案内で屋上菜園を見学させていただいた。

A技術分野と家庭分野の連携授業の実践                鈴木 智恵  家庭分野では、3年間で6回(1年で1回、2年で4回、3年で1回)の調理実習を計画している。1年では、小学校での学習の復習を兼ね、家族のための調理として「焼きそば」作りをする。3年では、幼児のための調理として「幼児のおやつ」作りをする。2年では、日常食の調理として「肉・魚・野菜の調理」と「行事食の調理」を行う。技術分野の学習との連携として、今回、技術分野の栽培学習で収穫した小松菜を使い、野菜の調理として「青菜の卵とじ」に取り組む計画を立てた。1単位時間のなかで調理から試食・片づけまでを終わらせる予定である。  「この実習前に、野菜の調理上の性質や調理方法・青菜のゆで方は学習済みである。また、  今回の実習では卵やだし汁も扱うが、これらについても小学校などですでに学習済みである」と、鈴木氏より補足説明があった。  実践報告とそれに関する質疑がひととおり終わったところで、調理に取りかかった。実習では、4人分の材料として小松菜300g、卵4個の計画になっていたが、小松菜が180gしかなかったので、卵は3個使うことにした。卵とじができあがると、調理室内にいいにおいが漂ってきて、食欲をそそられた。  写真2はゆでる前の小松菜、写真3は小松菜をゆでているところ、写真4は調理の最終段階のとき卵を入れているところである。  できあがった卵とじに舌鼓を打ちながら、教育談義に花が咲いた。技術・家庭科を取りまく状況を中心に、教育全般に関する情報交換が続いた。


    


永澤悟  
野本勇 isa05nomoto@snow.plala.or.jp