日時2013年10月 19日(土)14:30〜16:00
会場 上板橋第二中学校
(情報室)

内容 コンピュータによる制御の学習で子どもに何が身につくか


今回は、コンピュータ利用の計測・制御の学習について、実際に参加者にプログラムづくりを体験してもらいながら検討した。プログラムづくりの指導を新村彰英氏(東京都板橋区立上板橋第二中学校)にお願いし、新村氏の勤務校のコンピュータ室を会場にして研究会を行った。
 新村氏の指導で、参加者はプログラムづくりを進めていく。使うのは、小中学生向けに開発された、スクラッチとよばれるプログラミング環境で、無料で公開されている。
 参加者は、簡単なプログラムを作りながら、スクラッチの基本操作を学んでいく。ひととおり学習した後、画面上の車をコースに沿って動かす、ライントレースカーのプログラム作成に挑戦する。そして、いよいよ実機の登場と相成り、モータによる車の回転を制御するプログラム作成へと進む。最後は、初心者でも簡単に扱えるマイコンボードの制御に使える、Ardublockとよばれるプログラミング環境を利用してのプログラム作成である。ただ、プログラムづくりの後半は、時間の関係でかけ足の進め方になってしまった。
 プログラムづくりの講習終了後、計測・制御の学習に関する討議をしたが、短時間の検討しかできなかった。討議の冒頭、新村氏は「コンピュータの世界は日進月歩なので、新しい情報を意識的に取り入れていかないと、時代の波に乗り遅れるおそれがある。そのことを常に頭の片隅に置いて授業を進めている」と前置きして、「自分の頭の中では、制御学習で子どもに何を身につけさせるのか、整理がついていない。教科書では、フローチャートをもとにプログラムを作成するという学習の流れになっているが、フローチャートを考えるまでもなく、コンピュータを操作しているうちにプログラムができあがってしまう。そのあたりを皆さんはどう考えるか」と問題提起をされた。
 新村氏の問題提起を受けて出された意見のおもなものを記す。「プログラムを考える場合、フローチャートを用いて情報処理の流れを記述するとわかりやすい。そのフローチャートをもとに、プログラム言語を用いてコンピュータに入力する。これが手順だろうが、現在は、フローチャートを作成するまでもなく、プログラムづくりができる。だから、あえてフローチャートを使う必要もない」、「フローチャートは仕事の流れや作業の手順を考えたり示したりするのに便利だから、技術・家庭科だけで扱うのではなく、いろいろな教科やさまざまな教育活動で使ってみてはどうか」、「学習指導要領では、コンピュータを利用した計測・制御について取りあげるようになっているが、コンピュータによる自動制御だけでなく、手動制御や機械的な自動制御にも触れておくことが大事である」、「授業の中でプログラムを作り、モータの回転を制御することがうまくできるようになっても、そうした学習で学んだ ことを生活の中で生かせる場面がなかなかないのが現実である」。

 「フローチャートを取りあげる意義は何か」、「コンピュータを利用した計測・制御について取りあげる必要性は何か」、「コンピュータの構造やしくみはどこまで教える必要があるのか」などという点については、時間の関係で十分に議論することができなかった。これらの点も含め、改めて討議する機会を設けることを確認した。   



永澤悟  
野本勇 isa05nomoto@snow.plala.or.jp