日時2013年 1月19日(土)14:30〜16:30
会場 麻布学園(技術科室)
麻布学園(家庭科室)

内容 情報教育のめざすもの

  1月の定例研は大寒を翌日に控えた第三土曜日の午後に行われたが、最寄り駅から会場へ向かう道路には、数日前に降った雪がまだところどころに残っているという状況であった。研究会終了後、会場校の野本勇氏の心づくしのおでんを参加者みんなで食べながら、情報交換をした。 技術室の道具管理のしかたのコツの話を中心に、経験の浅い先生方の参考になりそうな話題が多く紹介され、大変有益だった。参加者がいつもよりやや少なめだったのが残念である。写真1 討議風景   

 @私の取り組む情報教育野本勇(麻布学園) 高校での「情報」の授業に合わせ、中学校段階では、その基礎的な部分の学習を担うことを目途に授業内容を決め、コンピュータ嫌いを作らないことも念頭に、カリキュラムを組んでいる。授業を受ける生徒たちの状況も、かなり様変わりしてきており、パソコンを使って何かをやっているという生徒はひところより減って、携帯電話やスマートフォンの利用に移っている様子がうかがえる。また、コピュータの歴史やしくみの話になると、興味・関心を示して授業に集中する生徒の数はぐんと減ってしまう。学習指導要領にあまり縛られない形の授業を展開しているが、これからもよりよい内容にしていきたい。 野本氏より、「まず、2種類のタイピングソフトを使ってキーボードからのキー入力の練習をさせるが、これはキーボードに馴れさせることがねらいである」など、授業で使っているソフトについての細かい説明が、パソコンを使いながらなされた。
 「パソコンソフトに保存してある画像データをワープロソフトで作業中の画面に取り込む方法がよくわからない。ワープロソフトと画像処理ソフトの両方を開いての作業中、画像処理ソフトの画面の一部をワープロソフトに取り込むやり方がわからない。こうしたコピーアンドペーストのテクニックを身につけることは大事だと思うが、それが身についていない生徒が意外に多いことに改めて驚いた」という発言に触発され、活発化した。いくつか出された意見のなかから2つ紹介しておく。「パソコンを使える生徒とそうでない生徒の差が激しい。作成したデータをファイルとして保存できないなどという、ファイル操作すらおぼつかない生徒もいる。この操作能力のちがいをそろえることが最初の仕事になる」「栽培のレポートづくりで、考察文を入力し、デジカメで撮った写真を貼りつけるなどということがすらすらとできることが肝心」。
 A情報教育への取り組み永澤悟(八王子学園八王子中学校) 勤務校は新設されたばかりで、在籍生徒は1年生のみである。本格的な情報教育は3年で行う計画を立てている。コンピュータの授業がたまたま2時間ほど確保できたので、文字入力作業を中心に授業を組み立ててみた。具体的には、渡したプリントと同一のものをパソコンを使って作成するというもので、手本のプリントは後で回収してしまう。コンピュータ制御については、自作のプログラミング・シミュレーションソフトを使って学習させてみようと考えている。制御の教材は高価なのが難点であるが、シミュレーションで済ませられれば、安上がりでよいのではないか。また、LED を使った簡単な電子回路 を作らせ、それを利用してコンピュータ制御を軽くやっ「写真3 LEDを使った回路」てしまうのでもよいのではないかとも考えている。 その後の討議では、「なぜ“コンピュータによる”計測・制御と規定するのか。たとえば、温度制御について取りあげるのに、バイメタルを使った温度制御を取りあげることなく、コンピュータによる温度制御を扱うのは無謀も言える。機械式制御の技術的な評価をエネルギー変換のところでしっかり押さえたうえで、コンピュータ制御を取りあげるのが筋ではないのか」という主旨の発言に多くの写真4 研究会後の情報交換にて参加者は納得していた。中学校段階の情報教育で何をどの程度扱うのか、現行の学習指導要領どおりの学習を進めることがどのような影響をもたらすかなどということは、今後も検討していかなければならないと痛切に感じた研究会であった。

野本 勇(麻布学園・技術科) isa05nomoto@snow.plala.or.jp
金子 政彦 (大船中学校) mmkaneko@yk.rim.or.jp