日時2012年9月8日(土)14:00〜17:00
会場 麻布学園(電機室)
麻布学園(技術・電機室)

内容 産教連大会(東京 大東文化大学)の報告

 今夏の関東地方は猛暑と少雨の状態が続き、首都圏での水不足が懸念されるほどになっている。定例研当日も残暑が厳しかったが、会場内はエアコンがきいていて、快適であった。初参加の方あり、遠方からの参加者(群馬県と福島県)ありで、研究会に参加していろいろ学び取ろうという意欲的な参加者が多かったように見受けた。
 研究会のなかで、古くからの会員から譲り受けられた各種の教材類のいくつかを、会場校の野本勇氏が紹介された。披露されたものは真空管式のラジオが中心で、いずれも、今ではなかなか見かけない貴重なものである。
 この日は、今夏の全国大会の匠塾(実技コーナー)でも取りあげられた「プラグライト」を研究会の場で製作してもらい、教材としての活用のしかたなどを検討してみた。材料や工具類の準備と製作指導は野本氏である。今回取りあげたプラグライトは、下田和実氏を中心とする大阪サー クルが数年前の全国大会に持ち込み、話題となった教材である。その後、全国大会でも幾度となく紹介され、全国各地の先生方の間に広まっていると思われる。そこで、これを機会に、定例研で改めて取りあげてみたというわけである。
 今回製作したプラグライトは、市販の電源プラグの内部に LEDを組み込んだだけの単純なものである。昨今の省エネや節電ムードの世論にも適合した、 LEDを使っているところがみそである。このプラグライトは常夜灯として使うことを想定しているが、別の使い方もできることを製作をしながら検証してみようと、野本氏は強調していた。
 常夜灯そのものとしては、白熱球やネオンランプを使ったものがあることはよく知られている。今回のプラグライトの製作に必要な部品は、電源プラグ・LED・抵抗値が12kΩ で1/4W 型の抵抗器がおもなものである。プラグライトは壁面に設置されたコンセントに差し込んで使うということを考えたとき、電源プラグは首振りタイプのものが向いている。また、LEDは発光色が白色あるいは電球色のものが向いている。
 製作に先立ち、使用部品に関して、設計上の注意事項ということで、指導者側で心得ておかなければいけない点について、野本氏より説明がなされた。( 写真 野本氏のてほどきで製作を進める参加者たち )
 「まず、LEDの定格を頭に入れておかねばならない。現在使われているLEDは高輝度タイプのものが主流になりつつある。これは定格電流が20mA 程度である。したがって、LED を100V下で使おうというのならば、適切な抵抗値の抵抗器を保護抵抗として直列に入れて使う必要がある。その抵抗値はオームの法則を使って算出するのだが、交流が流れている回路であることも考慮して計算せねばならない。さらに、保護抵抗として使う抵抗器の定格電力(ワット数)を考えることも忘Iれてはいけない」
 LEDの片方の足(リード線)に抵抗器をハンダづけし、リード線の絶縁を兼ねて熱収縮チューブを LEDの足の部分にかぶせた後、ハンダごての熱でチューブを固定する。そして、加工済みの LEDを 電源プラグの内部に組み込めばできあがりである。電源プラグ内にうまく組み込めるよう、ハンダづけ前にLEDや抵抗器の足を短く切りそろえておくのがうまく作るコツである。どの参加者も30分ほどで完成させていた。  製作終了後の討議では、「プラグライトを常夜灯という教材として生徒に製作させるよりは、点検用の測定具として使わせるほうが向いている。たとえば、テーブルタップを製作させた場合、正常に使えるかどうかを回路計を使って点検させるより、このプラグライトを使ったほうが簡単に点検できる。完成したテーブルタップにプラグライトを差し込んで、ライトが点灯すれば異常なしということが目で見てすぐに判断できる。これが何よりよい」と、野本氏は強調されていた。「実習時、製作が早く進んだ生徒にでもこのプラグライトをいくつか作らせておく。このプラグライトを複数個用意しておき、何人かの生徒を使って点検させれば、教室や廊下などに設置されたコンセントの点検などは短時間でできてしまう。こういう使い方ができるし、むしろ、このほうが向いているかも」などの発言もあったことを付記しておく。




野本 勇(麻布学園・技術科) isa05nomoto@snow.plala.or.jp
金子 政彦 (大船中学校) mmkaneko@yk.rim.or.jp