3月定例研の予定
 3月の定例研を下記に案内します。
日時2012年3月10日(土)2:30〜4:30
会場 麻布学園( 技術・加工室 )
★港区元麻布2-3-29 問い合わせは 野本へ
★地下鉄 日比谷線広尾駅下車 7分


内容 「新年度を前に栽培学習の準備を」
 今年(2012年)は春の訪れが遅く、梅の開花が例年よりかなり遅れているようである。定例研当日も冷たい雨の降る肌寒い天気であった。
 今回のテーマは栽培学習である。学校で栽培に取り組むとき、新年度の4月になってから準備をしたのでは遅い場合がある。特に、土づくりは、できれば3月の今から準備を始めたい。そこで、どのような準備をしておけば栽培学習が順調に始められるかという点を中心に、検討してみた。レポート報告と問題提起は会場校の野本勇氏である。

大豆の栽培は“易しい”のか“難しい”のか    野本勇

 栽培学習では、大豆をここ何年か続けて植えているが、昨年は全滅に近い状態で、失敗に終わった。その原因をいろいろ考えてみるに、それまでの栽培がたまたまうまくいっていただけではなかったのかと気づいた。この失敗を繰り返さないためにも、万全の準備を怠らないようにしたい。
 ふつう、前年度末の3月中に栽培学習の準備を始める。その準備とは“土づくり”である。プランター栽培の場合、土を掘り起こすか入れ換え、肥料を入れる。土の掘り返しで土壌に空気を入れることができるとともに、日光消毒で土壌中の害虫駆除もあわせてできる。このような作業を済ませておいたうえで、新年度の4月に鶏糞・腐葉土・石灰などの元肥を施す。
 昨年度の栽培実践を振り返るに、土の入れ換えが不十分だったことと播種時期の遅れが失敗の要因となったことに気づかされた。これに懲りて、大豆の栽培について改めて勉強し直してみた。大豆の発芽特性や品種によるちがいをよく理解したうえで播種をしないと最初から失敗をすると痛感した。この経験を生かして、次年度の栽培に取り組みたい。

 野本氏は、前年度の大豆栽培の失敗を教訓に、大豆も一部栽培するが、 ジャガイモを植えてみたいとの事で説明を受ける参加者はサツマイモを取り上げてみるのもよいのではないかと提案された。
 ジャガイモは生食用として男爵いも・メークイン・キタアカリが現在の代表的な品種であるが、ベニアカリという品種の種芋(赤皮で肉質は白)を手に入れた野本氏は、植え方の注意事項を解説したうえで参加者に配った。その後、苗の入手方法や土づくりのノウハウなどについての情報交換が続き、討議が盛り上がった。
 討議のなかで出された意見のおもだったものを以下に記しておく。「肥料袋の空き袋を利用して栽培学習に取り組む実践が紹介されている。その場合、袋を縦にして使う場合がほとんどだが、袋を横にして使い、2つ3つ穴をあけて栽培してみてもおもしろい」「学校教育のなかで栽培を取り上げる場合、手を抜けるところは抜いてもさしつかえのないような取り組みをしないと続かない。これを手抜きあるいはずぼらというのは適当ではない。“らくちん栽培”とでも名づけるのが妥当だろう」「栽培学習に取り組む場合、畑があれば理想的だが、次善の策として、袋栽培やプランターの利用を考えることになる。それぞれに適した指導計画を考えたい」
 討議は学習指導要領やそれに基づいた教科書の内容にまで及んだ。「“生物育成”という妙な用語が登場したが、『生物の育成に適する条件と生物の育成環境を管理する方法を知る』とか『生物の栽培又は飼育ができる』、『地域固有の生態系に影響を及ぼすことのないよう留意する』などと学習指導要領には記載されている。そうすると、地域や学校の実情に応じて、野菜や花の栽培だけではなく、魚や海藻の養殖、椎茸の栽培、牧畜などを取り上げてもかまわないということになる。実際、新教科書にもさまざまな実践例が取り上げられている。多様な実践が期待できるから、今後の実践報告が楽しみだ」

今回の内容に関しては、「技術教室」2011年12月号、「現代農業」2012年4月号、本通信の実践報告もあわせてご覧いただきたい。また、配付資料の入手を希望される場合は下記の連絡先まで。

連絡先
野本 勇(麻布学園・技術科) isa05nomoto@snow.plala.or.jp
金子 政彦 mmkaneko@yk.rim.or.jp