ご挨拶(技術教育、技術・家庭科教育に携わる方々へ)



 2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原子力発電所で起こったメルトダウンと放射性物質の放出、飛散は今なお福島県内の人々を初め多くの人々に災いをもたらしています。
 技術教育、技術・家庭科教育に携わるものにとって、一番心が痛むのは、原子力発電という技術についての原理やその課題、問題点などについて教科の中で、どのように扱ってきたのかということです。
 管見するところ「理科」では火力発電、水力発電、原子力発電などの発電の仕組みについて取り扱っていますが、「技術・家庭科」では発電の仕組みには殆ど触れず、その利用に焦点をあてた扱いになっており、原理や仕組み、課題や問題点などについて殆ど学ぶことができないものになっています。また、私たちの生活に関わって、どのような対応が必要なのかについても学ぶことができない内容です。
 技術が高度に発達し、巨大化あるいは反対に極小化することによって、私たちには目で見ることができない大きなリスクを背負わされることになっています(ウルリッヒ・ベック『危険社会』『リスク化する日本社会』)など)。こうした技術の持つ本質的な問題とその課題について学ぶことを欠かすことはできないし、このような課題にどのように対応し、自分自身や生活、社会を守っていくのかという課題も視野に入れて学習を組み立てることが求められているように思います。
 こうした技術の持つ課題や問題解決に向けて、3.11の教訓を礎にして教科内容に関する研究と学習について取り組んで行く所存です。

産業教育研究連盟
委員長 沼口 博